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2008年12月 7日 (日)

自分を好きになれたら

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雨宮処凛さんの、『生き地獄天国』という本を読みました。

雨宮さんを知ったのは、ここ一年くらい。新聞、雑誌でよく見るようになりました。いじめの問題やワーキングプアの問題について意見を述べておられて、共感する部分が多かったので、著書を読んでみたいと思っていました。

右翼団体に入っていた、という経歴にも興味がありました。

本の背表紙に書いてある、簡単な解説はこちら↓です。

【現在、フリーター等プレカリアート(不安定層)問題について運動、執筆し、注目される著者の自伝。息苦しい世の中で死なないために。激しいイジメ体験→ビジュアル系バンド追っかけ→自殺未遂→新右翼団体加入→愛国パンクバンド結成→北朝鮮、イラクへ→右翼をやめるまで。文庫化にあたらい、その後現在に至るまでを加筆。】


ちょっと引いてしまうような経歴ですが、読んで見ると、雨宮さんがその都度真剣に、必死で行きてきたことがわかります。


【追っかけを始めてから、もう一年が経っていた。私はもう、立派な追っかけ少女だった。メンバーの泊まっているホテルならすぐ見つけられたし、家出しても、泊まる先には不自由しないほどたくさんの友達がいた。カツアゲもできるようになってたし、万引きなんて、プロ級だ。一年前の、ただのイジメられっ子だった私から、今の私を誰が想像できただろう?

でも、実のところ、私は少しも楽しくなかった。
その日も、家には一週間くらい帰ってなかった。
「こんなことしてていいのかなあ・・・」
同じく一週間家に帰っていないマキが、私の隣で呟いた。

聞きたくない言葉だった。お願いだから、そんなこと言わないで。バンドの話ばかりしていて。
そう思っても、その疑問はもう、私たちの間ですら誤摩化すことはできなくなっていた。】


雨宮さんの両親は、娘がイジメで苦しんでいたときも、何も気づこうとせず、勉強のことしか言わなかったそうです。

母親に暴力を振るったり、手首を切ったりするようになっていたある日、・・・

【小学生の弟を人質にとって、私は、自分の部屋に立てこもっていた。
弟は、いつも私のことを怯えた目で見る。その目が堪えられなかったから。
母の前で、弟に包丁を突きつけた。弟は泣かなかった。母は取り乱して、何でも言うことを聞くと言った。

私は何も言えなくなった。
自分が何をどうしたいのか、それさえも全然わからないから。
ただ、母に守られている弟が、死ぬほど羨ましかった。私はもしかしたら、そんなふうに、誰かに無条件に抱き締められたいだけなのかもしれない。

私は泣いた。弟を抱き締めて泣いた。ただもうこれ以上、自分を嫌いになりたくない。もうこれ以上、家族にも嫌われたくない。なのに、何て逆のことばっかりしちゃうんだろう?】


この後、雨宮さんとお母さんは東京へカウンセリングを受けに行くのですが、途中で雨宮さんは逃げてしまい、結局お母さん一人でカウンセリングを受けることになります。

このあたりは、「どうなっちゃうんだろう」とハラハラしながら読みました。

ココまでで、まだ全体の、ほんの六分の一くらいです。が、その後も、一気に読めちゃいます。


私は、白状しますが、とても許容範囲の狭い人間です。

ゴスロリファッションとか、大嫌いですし、子どもを自分の都合で叱りつけている親を見ると、ムカムカしますし、真っ黒で大きな車に乗って、大声で自分の主義をがなりたてている人たちが、理解できません。私とは接点のない人たち、と思っていました。


でも、雨宮さんの本を読んで、みんな、迷いながら、苦しみながら、一生懸命生きているのかも、と思ったら、ちょっと、心の垣根が低くなりました。


【泣きながら、何もかも笑い飛ばせる気がした。ずっとこんなふうじゃなきゃ生きられない自分がイヤでたまらなかった。でも、こうやってジタバタしていれば、何か見えてくるみたいだ。

私はこのままでいいんだ。
 ー略ー
そして私は、生まれて初めて自分を好きだとちょっとだけ思った。】


やっぱり、「自分を好き」と思えることが、なにより力になるんですね。

だから、人の自尊感情をずたずたにするイジメは絶対にしてはいけないことだし、親が子どもを丸ごと受け止めて愛してあげることが、なにより大切だと、最後はそこに行き着くと思うのです。


よい本です、と、私は思います。

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