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2007年4月13日 (金)

学級制度の廃止

ギタリスト村治佳織さんのお父さん、村治昇氏の記事が載っていたので、『婦人公論』4/22号を買いました。
そうしたら、ちょうどその号は【子育て】に関する特集だったようで、なかなか面白い記事が多かったです。


なかでも興味を惹かれたのが、ヤンキー先生、こと、義家弘介氏と明治大学助教授の内藤朝雄氏の対談です。

義家氏はすでにかなり有名で、私も雑誌、新聞、ラジオなどで彼の考えを聞く機会もありましたが、考えがあまり深くないように感じるところがあって、主張全体にも共感できない部分が多々ありました。

一方、内藤氏のほうは、この雑誌で初めて知りましたが、論点がすっきりはっきりしていて、主張も共感できるものでした。

内藤氏は、いじめを二つに分け、それぞれ別の対処をするべきと言います。

ひとつは暴力系のいじめ、もう一方はシカト・くすくす笑い・悪口などのコミュニケーション操作系のいじめ。

前者は犯罪なのだから、法的に対処し、必要ならば警察に任せる。

後者に関しては、このように話しています。


【問題はコミュニケーション操作系のいじめ。隠微で曖昧な笑いやしぐさ、どうとでもとれる言葉を「いじめ」と判断し処罰を下すことは、現実的に不可能です。

しかし、解決策は簡単です。

学級制度を廃止すればいい。生徒を、限定された空間と人間関係に軟禁する学級制度を廃止して、より広い生活空間で友達を選べるようにすれば、コミュニケーション操作系のいじめは、効力を大幅に失います。

同じシカトやくすくす笑いでも、学級制度のもとでは相手を自殺に追い込みかねない凶器となり、大学のような自由な生活空間では「単なる不快な言動」と化すわけです。】


私もこれを読んで、「その通り!」と思いました。

朝登校したら、まず教室に入って鞄を置いて、それからほとんど一日中、その教室で、過ごさなければならない。少なくとも一年間同じメンバーで。

うまくいっているときはいいかもしれないけれど、一度いじめられたり、からかわれるような立場になってしまうと、もうクラスは地獄なんですよね。逃げ場がない。


この内藤氏の意見に対して、義家氏は、

【私は、学級をなくしてしまうという考えには反対ですね。社会に出れば、それこそいろんな荒波に遭遇するわけで、嫌いな相手と仕事をしなければならなかったり、自分が弱い立場に立たされたりすることもある。

小中学校のうちにさまざまな人間関係のなかでやっていく力を鍛えておかなければ、結局は後で苦労するはめになるだけです。子どもたちの人格形成にとって、集団教育は必要なものなのです。】


私はこういう考え方が嫌いです。結局は、イジメに耐えろ、自分でなんとかしろ、と言っているように聞こえます。


この義家氏の発言に対して、内藤氏は、こう答えます。(最初の部分、ちょっと省略します。)

【ー略ー  社会は立場の弱い者へのいじめなど、理不尽に満ちているのだからといって、学校でも同じ理不尽を体験させるべきだ、とは言えません。苦労には、したほうがよいものと、しないほうがよいものがあります。

強い者の理不尽に屈服するとか、「自分の心を変えて」までいじめられた相手となかよくする、といった苦労は、せずにすむのならしないほうがいい。】


つづきは、どうぞ本屋さんで立ち読みでもしてください。でも、買って損はないと思います!

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コメント

私の子供の頃の周りの大人や、社会の空気は、義家さんの様な考え方ばかりで、今でもそんな考えの人って結構いるんじゃあないかな?
私はただ鍛えればいいというのは、どうも昔から抵抗があって、先輩風をやたら吹かす運動クラブも謎でした。でも、自由教育に出会うまではそれしかないと思っていたので、抵抗しながらも擦り込まれてしまっている部分はありますね。
かなり自分で自分をいじめてしまっている。
自分の中のその部分を削り取る努力はしていますが・・・
でも、内藤さんの様な考えが当たり前になってきてほしいですね。

投稿: ぴいぶ | 2007年4月15日 (日) 17時05分

mamiさん、こんにちは。義家さんのような考え方、ちょっと読むと説得力があったりして賛同する人も多そうですが、私もmamiさんと同感です。内藤さんは「「ニート」って言うな!」という本で初めて知りましたが、リベラルな考え方の学者さんでとても共感を覚えます。「「ニート」」って言うな!」は三人の方の共著で、一般的に信じられているニート像に異論を唱えるもので、なかなか興味深かったです。新書版で出てますので、機会があればぜひ!

投稿: mai | 2007年4月15日 (日) 17時55分

 学級制度の廃止は、言われてみれば、確かにいい方法ですね。
 公立小中での経験から、学級制度は、少なくとも、もっと緩やかである方がいいと思います。
 他のクラスの教室に行ってはいけなかったり、「放課後もなるべく同じクラスの子と遊びなさい」と先生に言われたり、そういうのは行き過ぎですよね。(どういう理由で、こうなるのでしょうね?「先生が管理しやすいように」でしょうか?)
 合唱やダンスの大会、体育大会など、クラス対抗なので、それが苦手な子は「お前のせいで負けた」と責められます。担任してるクラスが優勝すると、先生は鼻が高いんでしょうね、先生も一緒になって、出来ない子を責めますから、いじめの助長にもなりかねません。
 でも、言われるまで、学校に学級があるのが当たり前と思い込んでました。

投稿: むさし | 2007年4月15日 (日) 23時09分

ぴいぶさん、こんにちは。

【先輩風をやたら吹かす運動クラブも謎でした。】
これ、大いに思いあたる節ありで、笑いました。
私、大学のとき、合気道部でして、上下関係、すごかったです。
「先輩に失礼があった」とか言って、泣きながら後輩を叱っている人もいたし。今思えば、なんでそこまでする?そんな重要なことじゃないだろって思うんだけど、どっぷり浸かってるときには、気がつかないんですよね。

フランス語には「先輩」「後輩」っていう言葉がないんですって。先生が言うには、「ちょっと先に生まれたくらいで、どうして先輩とか言う必要ある?そんなに違わないでしょ。」ですって!

maiさん、本、教えてくださって、ありがとうございます。調べてみたら、共著の一人が本田由紀氏なんですね。このかた、最近朝日新聞の論壇なんかでも、とてもよい意見を書いていらっしゃるので、注目していました。本は、近いうちに購入して読みます!

むさしさんのコメント読んで、思い出したことがあります。
私、短距離がとても遅くて、でも、運動会のクラス対抗リレーには全員でなくちゃならなくて、いつも私のところで追い抜かれまくって、びりになるので、本番のときはもちろん、練習後も、男子にバカにされ、責められ、ほんとにつらかったです。


教育再生会議のメンバーには、義家さんじゃなくて、内藤さんに入ってほしかったです。まあ、義家さんは、今の政府にぴったりの人材ってことなんですね。

投稿: mami | 2007年4月16日 (月) 23時50分

義家氏の反論は思いつきの域を出ていない。

義家氏の反論の論理構造を抜き出すと次のようになる。
前提1.学級をなくすとさまざまな人間関係のなかでやっていく力を鍛える機会を失う。
前提2.さまざまな人間関係のなかでやっていく力を鍛えておかなければ、嫌いな相手と仕事をするときや、自分が弱い立場に立たされたときに苦労する。
前提3.子供が将来社会にでたときに苦労をするような教育をしてはいけない。
前提1と2ゆえ.学級をなくすと子供が将来苦労する。…(A)
前提3とAゆえ.学級をなくしてはいけない。

・学級制度を廃止しただけで、精神の発達に必要な人間関係が消滅すると考えるのは誤りだ。子供はクラブ活動や地域のコミュニティを通して健全な人間関係を学ぶ機会を得る。そうしたなかで人間関係のいざこざが起きたときに、子供たちは己の力で民主的に問題を解決する方法を会得する。また、大人がその方法を指導することもできる。

・“単なる嫌な奴”と“悪意を持ついじめ加害者”は同列に扱うべきでない。後者は市民社会の秩序によって淘汰されるべきだ。

・「さまざまな人間関係のなかで“やっていく”」とは具体的にどういう行為を指すのか?

1.加害行為に加われというのなら問題外だ。

2.傍観者になれというのなら子供が群生秩序に汚染されるだけだ。(大人になって社会に群生秩序を持ち込む危険性もある)
会社内で労働基準法が無視されサービス残業が横行しているのは、まさしく群生秩序が蔓延しているからである。この場合、群生秩序を排除するべきなのであって、労働者が不当な扱いに耐える必要は無い。耐えても国民が不幸になるだけだ。そして、市民社会の秩序が浸透していれば、コミュニケーション系のいじめを行う者の方こそむしろ“幼稚な人間”として迫害を受けるのである。

3.いじめに耐えろというのならば被害者の自尊心が低下するだけだ。最悪自殺する可能性もある。

自尊心の高い者よりも低い者の方が嫌いな相手とうまくやっていくのが苦手というのが心理学の定説であり、義家氏の主張は矛盾する。義家氏は精神的な打たれ強さを風邪の免疫と同列のものであると誤解しているのではないか。

・また、学校内で嫌いな相手とつきあう行為は何のメリットももたらさないが、会社では収入を得られるというメリットが存在する。これは強力な動機付けになるので学校と会社を同列には語れない。

・また、義家氏は学級をなくしたことでその教育を受けたものが苦労しているという実証的なデータを示したわけではない。

投稿: チンピラ師匠 | 2010年5月21日 (金) 10時00分

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