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2006年8月30日 (水)

パスポート盗難事件

昨年(2005年)秋、Nはイギリスへの修学旅行に参加していました。

あと4、5日で帰国するんだなあ、と思っていたある晩、きのくに子どもの村学園の事務室から電話がかかってきました。私はちょうど外出していて、出たのは夫。

「今きのくにから電話があって、Nがパスポートを盗難にあったらしくて、渡航証明書を発行してもらわないといけないから、戸籍抄本をとってきて、ファックスしてくださいだって。」

ええ〜!?盗難?どうして〜? 詳しい状況がわからないまま、とにかく戸籍抄本をファックスし、数日後、「予定通り帰国しました」、との電話をいただきました。

その後の学園からの手紙と、N本人との話しから、車上盗難にあったということがわかりました。ほとんどの子がバスにおいていたリュックを取られ、Nを含め、4人の子が、パスポートの入ったポシェットまで置きっぱなしにしていたため、大変なことになったというのです。

荷物が盗難にあったのは、どうしようもなかったことかもしれませんが、パスポート、航空券まで取られたのは、本人の落ち度です。でも、きのくにの大人は、「どうして置きっぱなしにしたんだ!!」なんて怒鳴ったり、くどくどと子どもを責めたりはしなかったそうです。

警察、領事館、航空会社など、必要なところへ連絡をとった後、予定していたユースホステルへ急ぎ、そこで帰国までの日程をどうするかのミーティングをしました。

その結果、パスポートをなくした子は、とにかく渡航証明書の発行のために、領事館に行くなどし、他の子は近場にお出かけ。帰国直前に予定していたウェールズやバース、リバプールには行けない、ということになりました。リバプールではビートルズ記念館に行くのが目玉で、Nもとても楽しみにしていたのです。

でも、自分のせいでこんなことになって、みんなに迷惑をかけてしまった、という思いもあり、Nもあきらめるよししかたない、とつらい思いで覚悟していたそうです。

ところが、行けたのです!夢にまでみたビートルズ記念館へ!この一部始終は、掘さんのお便りと、Nの作文から抜粋します。


堀さんのお便り:「パスポート盗難事件の顛末」より

【帰国前の旅行は、けっきょく、ウェールズやバースがカットされ、リバプールも断念せざるを得なくなった。リバプールのみんなのお目当てはもちろビートルズ記念館(ストーリー)だ。これに大きな期待をかけていた子は多い。無理だとわかった途端、みるみる失望の表情に変わる。その時の何人かの顔は今も鮮明に私の脳裏に残っている。次の日、飛行機の時間を気にしながら、私は、だれにも相談せず、何の前触れもなく、とつぜんわき道にそれてリバプール行きを敢行したのだ。】


「きのくに子どもの村通信 第76号」中、Nの作文より

【修学旅行の最終日は朝早くにキリー(キルクハニティ)を出て、ロンドンに直行のはずだった。しかし、途中で高速を降りてどこかの町に入った。隣に座っていたM君が「ここってリバプールっぽくない?」と言ってきたので、「そんなわけないやろ」と言った。でも、ロンドンに着くには早すぎる。

なんで高速を降りたのだろうと思った。そしてバスがそこに止まった。そこに見えたのはなんと、行けるはずもなかった『ザ・ビートルズ・ストーリー』。うれしさのあまり飛び跳ねるほどだった。
中にはジョン・レノンが初めて手に入れたギターや、ジョージ・ハリスンのギターが飾ってあった。】


この顛末を聞いたときには、「子どものためにできるだけのことをしよう」という堀さんの気持ちがありがたくて、涙がでました。Nも「あのときは、ほんとうにうれしかった」としみじみ言っていました。


そして、このパスポート事件にはまだおまけがありまして、盗難後のミーティングで帰国までの予定を確認し終わった頃、ある子が「実は僕、パスポート落としたみたい・・・」と言い出したのです。

「あの時は堀さんもほんとうに困った顔してた。表情が変わってた」とNが言っていました。

もう夜も遅い時間だったのに、それから堀さんは落としたらしいところを探しに行ったそうです。ところが、途中の道が事故だか工事のために通れなくなっていて、引き返さざるを得ず、おまけに車が故障してしまい、さんざんな目にあったそうです。帰国までの数日間、いつにも増して堀さんの睡眠時間は少なくなったことでしょう。

普通、これだけのことが起こったら、寄り道はいっさいなしにして、いっこくも早く空港についてゆっくりしたいと思いますよね。ほんとに堀さんは偉大です。

そして、Nは、「もう絶対パスポートは肌身離さん!」と言っております。「どれだけ大切か、よ〜くわかった!」だそうです。

叱られなくったって、大人や友達に迷惑をかけてしまったことは、本人が一番よくわかっているのです。そして、大好きな大人が困った表情をした、それでも一生懸命自分のために動いてくれて、無事に帰ることができた、それだけで、もう、何も言わなくても、大切なことは心に染み通ったようです。

(家族旅行でこんなことがあったら、私なら100回くらい「どーしてパスポート置きっぱなしになんかしたのよ!!!!」と怒鳴っていたでしょう。)

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